2020年10月19日 20:00
蓮沼執太「無関心で生きてきたりしたことが…」コロナ、BLMで思うこと
――アルバムのアートワークは横尾忠則さん。アナログやCDになると、美しさがより映えますよね。
もとは「大沼と駒ケ丘」という横尾さんの作品で、今回のアルバムのビジュアルのイメージにピッタリだったので、この絵を貸していただけないか、お願いしてみたんです。するとデザインしてくださるとのことで送られてきたのが、ジャケットの表と裏用の2枚の絵。一見すると同じようなんですけど、裏の絵からは鳥など動物が消されていて…。このアルバム自体、前半5曲がいわば原形で、後半5曲はそこからの波形とかスコアを見ながら音を削っていって再構築したもの。つまり、表と裏があるんです。そういう関係性を伝えていないのに、すごいですよね。
横尾さんの言葉を借りると、超自然的とでもいうのかな。自分ごととして体験すると、リアリティを感じます。
――表と裏然り、以前といまでは社会が変わってしまいました。制作を続けるうえで、この状況とどう向き合おうと思いますか?
いま、世界中のアーティストから環境音を集めているんです。要はフィールドレコーディングなんですけど、いまこそ環境の声を聴くことが、すごく大切だと思っていて。それを無視したり、無関心で生きてきたりしたことが、コロナとかブラックライブズマターで噴出したんじゃないかと。