そこでルカシェンコ大統領が支援を求めたのがロシア。プーチン大統領はルカシェンコを支持し、15億ドルの融資と軍事的協力の継続を約束。ベラルーシの貿易相手の80%はロシアで、文化的にも地理的にも近い存在です。ソ連から独立した国々が次々とEUに加盟し、自国と緊張関係を持つようになってしまったため、ロシアにしてみればベラルーシをEU側に引き抜かれたくない。ただでさえプーチン大統領の支持率が落ちている今、市民が蜂起して政権が倒れる事態が隣国で起きて、ロシアに飛び火することを恐れています。
ベラルーシの抗議運動は音楽を流したり、民族衣装を着たり花束を持つなど徹底して平和的に行われています。暴力に訴えれば、それを理由に軍や警察に即刻制圧されてしまうからです。
34年前、チェルノブイリの原発事故で飛散した放射性物質の7割がベラルーシに降り注いだといわれ、復興のために広島の原爆研究を共有するなど、核の被災国としても日本とはつながりのある国。
独裁政権の横暴を止めるには「国際社会が見ている」ということが力になります。ベラルーシの現状をぜひ知っていただきたいです。
堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。