2020年12月17日 21:00
ホロコーストを生き延びた男と少女…スキャンダラスな関係が生んだ希望
ただ、僕が脚本を書いていたとき、実は彼女はあまり喜んではいなかったようで……。
―それは、なぜでしょうか?
監督「まさに心理学者の人が書いた小説」という感じで、小説には人物の心の動きが事細かに書かれていました。それに比べると、脚本ではいろいろな情報がそぎ落とされているように見えたそうで、「これでは観客に理解してもらえないんじゃないだろうか?」と思われていたからです。もちろん、そういった意見も僕にとってはとても重要ではありました。
確信があったからこそ、自分の選択に迷いはなかった
―とはいえ、原作者の方がそういう状況で制作を続けるのは、気がかりだったのではないでしょうか?
監督確かに、原作者が納得していない状態というのは怖かったですし、原作を傷つけてしまうのではないかという不安もありました。彼女にとっては、この作品が唯一の小説だったこともあって、ひとりっ子のように大切に思っていたから心配していたんだと思います。
そういったこともあり、キャスティングに関しては、彼女にもいいと言ってもらいたいと思っていたので、特にアルドとクララ関しては事前に映像を見てもらいました。2人ともすごく気に入ってもらえたので、それはよかったですね。