2021年1月4日 20:40
沖縄の島旅から生まれた新アルバム 青葉市子「頭の中の楽想を具現化できた一枚」
2020年1月。音楽家の青葉市子さんは、呼ばれるように沖縄を訪れ、長期滞在していた。そこでふいに出会った「アダン」という木の実がアルバム『アダンの風』の制作のトリガーのひとつになったそう。
子どもの頃から大事にしているキラリと輝くものを掴む。
「太陽みたいな激しい色をしているけれども、どこか手榴弾みたいでもある。そういう植物が、浜でいちばん風を受けるようなところで生きていて、“風の音を聴いている”イメージが浮かびました」
そうして、沖縄のいくつかの島を旅する中で、自身の心が躍動するインスピレーションを得て、あるひとつの物語を着想した。
「近親交配の集落に種族最後の一人として生まれた霊的な力を持つ少女がいて。種族の血を絶やさぬように親族が混交の期待を込めて、小さな木舟に乗せ、沖の向こうのアダンの島へ向かうところから物語は始まります。
やがて、少女はその島に生息している、言葉を持たないクリーチャーたちに出会う。クリーチャーというのは、どんな姿を想像してもらってもいいですけれども、生きていることを嬉しく思う、ワクワクするキラキラとした存在。少女とクリーチャーが出会ったとき、言葉を交わさず、貝を贈り合うんです」