2021年1月21日 19:00
有名作家が味わった孤独や貧富の差…どん底から抜け出すのに必要なもの
おそらくその理由は、デイヴィッド役のデヴ・パテルのおかげ。そもそもすべては彼から始まっているからです。デヴには若々しさや楽天主義的なところ、カリスマ性といったこの役に必要な要素が全部揃っているので、彼は劇中の恋愛も悲劇も喜劇も物まねも体現できる役者。この役にデヴ以外は考えられませんでした。
そのときに気がついたのは、デイヴィッド役だけではなくて、どの役も同じように「この人がベストだ!」と思う人を選べばいいんだということ。そして、どんなバックグラウンドの人が観ても、この世界に入り込めて、自分が受け入れられていると感じられるような世界観にするためのキャスティングにすればいいんだと思いました。そういう流れで選んでいったので、難しさを感じることはなかったんです。
映画界は多様なキャスティングが遅れている
―なるほど。
実際、多様なキャスティングだからこそ生まれた部分もありましたか?
監督多くのキャストがこういった時代モノの作品でキャスティングされたことがなかったと話していましたが、みんな自分の人種やバックグラウンド、そして歴史的な部分を考えることなく、自由に自分の役を演じていたのが印象的でした。