2021年2月9日 19:40
日本の芸能界のルーツ描く…漫画『スインギンドラゴンタイガーブギ』の面白さ
漫画『スインギンドラゴンタイガーブギ』の物語の舞台は昭和26年、米軍占領下における日本のジャズシーン。
ロックもポップスもない時代、まちにはジャズが鳴っていた。
「自分がマンガを描く以前から興味のあったジャンルなんです。1巻の第2話で、新宿駅前に集まったミュージシャンを、いわゆる手配師が『おまえはあっちのクラブへ行け』などと振り分けてトラックに乗せていくのですが、そういうシーンを描きかったというのがまずあります」
と、作者の灰田高鴻さん。主人公の少女“とら”こと於菟(おと)が圧倒されるのが、まさにその光景なのだが、於菟はある事件を機に正気を失ってしまった姉のために、彼女の想い人らしいベーシスト“オダジマタツジ”を捜して福井から上京。歌声を見込まれてジャズバンドに誘われ、米兵が集うEMクラブで歌うことに。
「ジャズ自体は戦前から日本にありましたが、戦後の歌謡曲や芸能界の直接的な礎になっていったらしく。もともとはミュージシャンだったけれどマネージメントの側にシフトした芸能事務所の創業者や、三人娘と呼ばれた美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみのような歌手を立ち位置として参考にさせてもらいました」