くらし情報『史上最多の応募作から! 文藝賞受賞の『水と礫』は「構成の妙が光る」作品』

2021年2月14日 21:10

史上最多の応募作から! 文藝賞受賞の『水と礫』は「構成の妙が光る」作品

応募数が史上最多だったという第57回文藝賞。受賞作『水と礫(れき)』の著者が藤原無雨さん。物語世界を屹立させるディテール豊かな描写にも圧倒されるが、なんといっても構成の妙が光る。ある男の半生を反復させることで時空を押し広げ、一族のサーガとして描き出してみせた。筆力の高さを、これ一作で証明した。

体内に溜まった水を乾かす旅は、時空を広げ一族のバトンを語り出す。
史上最多の応募作から! 文藝賞受賞の『水と礫』は「構成の妙が光る」作品


「核となる物語に過去と未来をどんどん足していき、さらに圧縮していったらどうなるのか。そんな興味から出発したんです」

核となる物語というのはこうだ。

東京でドブ浚いの仕事をしていた青年クザーノ。取り返しのつかないミスで職場にいられなくなった彼は、やむなく故郷に戻ってくる。しかし、故郷にも居場所はなく、〈東京から運んできた悲しい水分を全部蒸発させ〉たいと願うように。クザーノは、先に砂漠へ旅立った弟分・甲一の後を追い、やがて砂漠の向こうの町にたどり着く。「1」「2」「3」と続いてきた物語は、再び「1」にループするが、見えてくるクザーノたちの生活は、ループするたびに少しずつ違うエピソードが足され、一族の来歴が具体的になっていく。

「クザーノの息子がコイーバで、父親はラモンで、さらに孫や祖父も登場してくる。

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