2021年3月3日 18:40
便を漏らすことの恐怖…難病「潰瘍性大腸炎」を患い知る“生きづらさ”
共食圧力については、健康な読者からも『食べたくないものを勧められるのが嫌だった』とか、『自覚していなかったけれど他人と食べることが苦手だと気付いた』という感想は多かったです」
病気を心の問題と決めつける声、不治の病という「解決策がないこと」の存在を認めたがらない態度…。他にも、病を経て頭木さんが感じた違和感はいろいろ。が、他者の“常識”を押し付けられることの息苦しさは決して他人事とは思えない。
「たとえば足が悪くなれば地面の凹凸に気付くじゃないですか。でも、その凹凸は足が悪くなる前からそこにあったわけで。それと同じように世の中にあるいろんな生きづらさに病気になったせいで気付いた。実は健康な人にとっても関係ある、そんなことを書きたかったんです」
病気を通じて、社会とコミュニケーションについて考えさせられる、刺激的な一冊、ぜひご一読を。
『食べることと出すこと』難病で「食べることと出すこと」が普通にできなくなった著者の病気体験エッセイ。
病むことで初めて気付いた事柄を、古今の文学の引用文を交えながら綴る。紀伊國屋書店の「キノベス!2021」7位。医学書院2000円
かしらぎ・ひろき最近刊は自身も体験した「ひきこもり」