くらし情報『自分の体がもう一つ? 山田宗樹の新作『代体』がこわおもしろい!』

2016年6月21日 08:00

自分の体がもう一つ? 山田宗樹の新作『代体』がこわおもしろい!

私自身は、肉体と意識を切り離すなんて現実的ではないという考え。あくまでもフィクションとして面白い設定を選んだんです。意識転送の理論も、ストーリーの幅を広げるためにハッタリで作ったものです(笑)」

やがて代体の生みの親、麻田という研究者の存在が浮かび上がる。

「最初はマッドサイエンティストをイメージしていたんです。でも書いているうちに、もう一人の存在を出したほうが面白いだろうと思って」

明かされる真相に、読者は驚愕するに違いない。スピード感を増す展開のなかで、肉体とは、意識とは、魂とは、さらには神とは何かという、究極の問いかけが突き付けられる。

「でも実は、これは一人の少年の物語でもある。そのセンチメントはきっと、共感してもらえるはず」

心を揺さぶるエンタメ小説である。


◇『代体』 代体メーカーの営業マン、八田が担当する患者が失踪。後日、代体だけが無残な姿で発見され、患者の意識は消失していた。しかし…。KADOKAWA1700円

◇やまだ・むねき作家。1965年生まれ。『直線の死角』で横溝正史ミステリ大賞を受賞してデビュー。2013年に『百年法』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ジバク』『ギフテッド』など。

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