2021年3月15日 20:10
松井玲奈、2作目の小説 「パパ活」中の女子との出合いが執筆のきっかけに
第1話は、恋人からプロポーズされたのに乗り気になれない23歳の小夜の話だ。
「昔は20代前半が結婚適齢期とされていましたが、今はもう少し年齢を重ねてからと感じます。そんな時代に、23歳で結婚の話が出て、未来のビジョンが見えずにいる女性の話です。その状態とどう向き合うかは、この本のスタートの話としてとても大切な部分でした」
2話目の「パンちゃん」では、獣医の青年がセフレの女性とラブホテルで密会。密室の中でのパワーバランスの変化の描き方が巧みだ。前述の第3話は、実は最後にサプライズあり。それを踏まえて読む第4話では、美大生の女性が一方通行の恋に苦しむ。これは実際に美術大学に行って取材したのだそう。
そして第5話で、読者は著者の企みの全貌を知ることになる―。
どの登場人物も著者を連想させない、むしろまったく異なるキャラクターであることが印象的だが、
「意図的にそうしています。自分が経験したことを物語に落とし込むことはできるけれど、そうすると“松井玲奈”というフィルターを通して読まれてしまうのがもどかしいというか。それより作品自体だけで楽しんでもらいたい気持ちが強いです」
それでここまで違う人物たちを描けてしまうのだから驚きだ。