2021年3月15日 19:40
“オニ”が教えてくれる優しさ 『鬼の子』は「宝物のようなコミック」
野球部の練習を眺めていたオニくん。部を辞めたばかりのみのるのあとをついてきて、グラビアモデルのお母さんと3人で暮らすことに。ながしまひろみさんの『鬼の子』は、そんなユニークな設定で始まる。
勇気を持って踏み出す大切さを教えてくれる、オニくんの物語。
「節分にちなんで“鬼の子が訪ねてきて鍋を囲む”というイラストをSNSに上げたら、わりと反響があって。そこから、もし『桃太郎』のような昔話の中の鬼に子どもがいたら…とキャラクターから連想しました。前作で描いた主人公が小学生の女の子だったので、その子の友だちみたいなイメージがまず浮かびました」
鬼の子であるオニくんは、最初、異端児扱いされる。自分だけにツノがあるのもコンプレックス。
小学校でも浮いてしまう。
「私自身も、社会でうまく折り合えている気がしないので、鬼の子どもならなお大変だろうなと」
だが、〈ひとりじゃできないこと、ぼく(略)やりたいです〉と、野球を介して壁を壊し、仲間になっていく。
「野球をさせる、試合はしようくらいは決めていたのですが、展開や結末など深く考えずに始めてしまい、『こうなったら面白いかもしれない』という思いつきの連続でした」