くらし情報『“オニ”が教えてくれる優しさ 『鬼の子』は「宝物のようなコミック」』

2021年3月15日 19:40

“オニ”が教えてくれる優しさ 『鬼の子』は「宝物のようなコミック」

描く上で大切にしたのは、そのときどきの感情をどう描くかだという。特に、登場人物の多くが言葉をめぐって抱えている「葛藤」を、巧みに掬い上げている。

「どうしても言えなかった言葉があったり、言いたかったのとは逆の言葉を投げつけてしまったり。そういう経験って、誰もがあるんじゃないかなと思うんですよね」

本作には、みのるの家族をめぐるサイドストーリーがある。みのるの父親は有名な元野球選手。妻子を置いて出奔していて、そのことがみのるやお母さん、いまや家族の一員でもあるオニくんをもモヤモヤさせている。そんな亀裂を変えるきっかけをくれるのも、オニくんだ。野球や仲間や家族を通して、子どもたちはもちろん、大人たちも成長していく。


ひとコマひとコマに見惚れるほど繊細な画も、本作の大きな魅力。

「鉛筆で描いたアウトラインをスキャンして、デジタルで着色。さらにアナログで水彩だけのレイヤーを足してテクスチャーをプラスし、デジタルで合成させています。ショートショートで描いていた前作では大丈夫だったんですけど、長いマンガでやってみたら、我ながらこんなに大変だったのか、と(笑)」
愛らしいオニくんの優しさや勇気に否応なく励まされる、宝物のようなコミックだ。

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