2021年3月16日 20:10
ハチャメチャなのにエモい…超身勝手なオッサンの人生最後を描く映画とは?
オネエ系映画ライター・よしひろまさみちさんの映画評。今回は『ワン・モア・ライフ!』です。
笑いと涙の人生ゲームよ!
人が死ぬ直前って、よく「それまでの人生が走馬灯のように」とか「先に亡くなった家族の姿が見える」とか、世界中で似たようなことがいろいろ語られているわよね。でも、実際のところ、そんなドラマティックなことってあるの!?って思っていたあたし。『ワン・モア・ライフ!』で描かれる死の直前の描写を観たら「これだ!」と思っちゃった。
イタリアのシチリア島の港で技師として働くパオロは、普段から健康に気をつけ、妻子はいるものの恋人との火遊びもし、人生を身勝手にエンジョイしているオッサン。そんな彼が、スクーターでの仕事帰りに事故にあってあっけなくポックリ逝っちゃうの。そのとき、彼が考えたのは妻子のことでも天国の親族のことでもなく、自分のこと。
事故の直前に、タクシーの客待ち車列に文句をつけたり、恋人から言われた一言のことや、まじで身勝手。そんな彼は死んだ人が通らないといけない天国の窓口へ。そこでは彼と同じように自分の予想とは違ったタイミングで死んだことにイチャモンをつける人がわんさかいるの。