2021年3月24日 19:00
自閉症の息子と父親が命令無視で逃避行…金もあてもない旅で見つけた答え
ある父親と息子の実話を基に描かれた感動のストーリーとなっています。そこで、今回はこちらの方にお話をうかがってきました。
ニル・ベルグマン監督
イスラエルを代表する映像作家のひとりとして知られているベルグマン監督。東京国際映画祭では、史上初にして唯一となる 2 度のグランプリ受賞の快挙を成し遂げており、注目を集めています。そこで本作を通じて監督自身がたどりついた思いや日本での思い出などについて語っていただきました。
―映画にはモデルがいるそうですが、どのようなきっかけでこの作品が生まれたのでしょうか?
監督自閉症の弟を持つ脚本家のダナ・イディシスが、あるとき「弟と父親が別れることになったらどうなるだろう」と思いを巡らせたことが最初。その疑問を核にして、彼女と 2 人で脚本を書き始めました。感情豊かな登場人物の関係は、実際にダナの弟と父親をモデルにしています。
本作で描かれているのは、自閉症スペクトラムの息子とウリを育てる父親のアハロンとの関係。でも、僕はシンプルに“父親”を描いた作品と考えています。僕自身、初めて父親になった日に息子を見て、心が震えた経験があるからです。この子は世界で一番おだやかで優しく、壊れやすい存在なんだと。