2021年3月25日 19:30
「小津安二郎から常に学んでいる」日本の巨匠がドイツの名匠に与えた影響
自然が破壊され、人間に支配されるようになると、自然は“エネルギーの供給源”として見られるようになりました。そういったときにドイツロマン派の人たちから「自然の魔術的な力が失われないようにしたい」といった声が上がり、自然に対する憧れとしてウンディーネがテーマとして生まれたんです。そういったこともあって、ロマン派の絵画などには、自然回帰に関する内容の作品があるんですよ。
映画では、曖昧な記憶を描くほうがおもしろい
―監督はこのテーマを取り上げるうえで、意識したことはありますか?
監督ウンディーネというのは、男性の視点から描かれているんですが、僕はエロティシズムの対象として描いたりするような男性目線のウンディーネにしたくないということだけは気をつけました。
―もともと監督も幼い頃からウンディーネの神話はご存じだったそうですが、あらゆることを間違って記憶されていたそうですね。ただ、記憶が曖昧だからこそ、それが監督の想像力を刺激するような部分もありましたか?
監督そうですね。僕はその曖昧さこそがおもしろいところだと思っています。なぜなら、オリジナルの文学をそのまま再現するような映画は非常に退屈な作品になってしまいますからね。