くらし情報『奇妙で痛快、着ぐるみが媒介となる物語 村木美涼の新刊』

2021年4月5日 19:40

奇妙で痛快、着ぐるみが媒介となる物語 村木美涼の新刊

思いがけない人間関係やエピソードが交錯していくリーダビリティの高さが、村木美涼さんの小説の魅力だ。『商店街のジャンクション』もまた、着ぐるみが媒介となって物語は意外な方向へ転がっていく。

商店街で、着ぐるみでチラシ配りのアルバイトをする、男女3人の物語。
奇妙で痛快、着ぐるみが媒介となる物語 村木美涼の新刊


主な登場人物は、IT系会社員の滝田徹、インフォメーションセンターで働く水谷佳菜、追われる身の兵頭健太という3人の男女。

「『着ぐるみの中にいる時間を何よりも大事にしている男』『すべての物事を右からしか始められなくなった女』『ただひたすら面倒から逃げている男』。この先もこのままでいいのかとうっすらとした不安を抱いている彼らがどう変わっていくかが読みどころかなと。着ぐるみの名前を〈チョッキー〉にしたのは、着ぐるみの中でVサインをしているからという単純な発想からです(笑)」

村木さんの作品では、「この人物には何か人に言えない秘密や悩みがあるんだな」と思わせる場面が早い段階から明示されるのだが、その具体的な中身はなかなか明かされない。だが、作中に出てきた〈偶然こそが生きている証しだ〉という意味深な言葉が、テーマをよく表している。


「10年くらい前から“偶然”というものについて考えるようになりました。

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