2021年4月5日 19:10
羽生結弦 若い選手と比較し「トリプルアクセルさえ跳べない時期も」
琵琶や琴の音色が印象的に響くその曲は、本来の大河ドラマのテーマ曲に他の部分の音を持ってきたり、違う曲を重ねたりして羽生自身が構成したオリジナル。そこには、謙信が武将として戦い続けながら出家するまでの、羽生自身がイメージした心のストーリーが流れている。
「曲を聴けば感情は入るし、もちろん、振りの一つひとつにいろんな意味を込めています。ただ、その中でもジャンプを完成させないと、プログラム一連の流れとして伝わるものが伝わらなくなる。このプログラムというか、ここ5~6年のシーズンのプログラムに関しては、自分の動きや要素のどれひとつ欠けても、プログラムとして成り立たなくなっていると思うので…。だから何よりもジャンプを途切れさせないで、力みなくシームレスに跳べたことが、表現として完成させられた一番良かったところだと思います」
強い思いを持ったプログラムの初披露。そこに懸ける思いの強さは、試合前から伝わっていた。午前の公式練習では曲かけでノーミスだっただけでなく、挑んだ4回転はすべて降りていた。
そして直前の6分間練習でも、キレのある動きでジャンプはすべてきれいに決めた。本番でも最初の4回転ループと4回転サルコウを加点3.60点、4.16点のジャンプにして滑り出すと、後半も4回転トーループからの2本のコンビネーションジャンプとトリプルアクセルを余裕をもって決める、隙のない滑り。