2021年4月22日 19:30
「本離れが進む現代でも危機感はない」アメリカ人監督が語る本の未来
という不安を抱いている方のお話もありましたが、監督にもそういう危機感はありますか?
監督僕にも100年先のことはわかりませんが、たとえみんなが宇宙に行けるようになる時代になっても、本は残るんじゃないかなと思っています。可能性として言えるとすれば、いまは日常生活のなかにある本がもしかしたら将来は本自体が“物珍しい対象”になってしまうようなことはあるかもしれないですね。
ただ、僕はこの映画を作る前よりも作った後のほうが、そういった危機感よりも本には希望を感じるようになりました。
―それはなぜでしょうか?
監督この作品は、すでにアメリカやさまざまな国で公開されましたが、思っていたよりも多くの方が観てくださいました。その様子を見て、みなさんのなかに本に対する興味があることを感じられたからです。
―とはいえ、いまは本離れが進んでいますよね。監督から本の良さを伝えるとすれば、どんなことですか?
監督実際に本を持つことによって、自分の人生に“マーキング”できるのが魅力だと思います。たとえば、本棚の前を通りかかったときにふと置いてある本が目に入ると、過去にその本を読んだときのことを思い出しますよね?
電子ブックだと、読み終わった瞬間に終わってしまうかもしれませんが、実物があるとそういう楽しみ方もできますし、人間というのは体を使って何かをすることで脳に働きかけ、そして学ぶことができるものですから。