7月1日から1か月にわたり、あちこちで華やかな行事が行われる祇園祭。
これらはすべて、八坂神社の祭神に疫病退散をお祈りするためのもの。始まったのは平安時代。都はおろか日本中に疫病が蔓延したとき、疫病退散を願い平安京の広大な庭園に、66本の鉾を立て神輿を巡行した神事が始まりといわれています。
「その後、室町時代に、町衆たちは急速に経済力をつけた。彼らは自分の町内で祇園祭に奉仕する山鉾を持っていたのですが、財力と研ぎ澄まされた審美眼によって手に入れた多くの装飾品を使い、山鉾を飾りました。それによって祇園祭はより一層盛り上がったといわれています」
と言うのは、京都に関する著書を数多く手がける、「らくたび」代表の山村純也さん。
一番の見どころといえば、山鉾巡行。細部まで飾られた山鉾は、別名“動く美術館”。その装飾にはペルシャ絨毯やゴブラン織の布などが使われ、和のお祭りなのにどこかエキゾティックで魅力的。
「宵山期間は、美しい山鉾を間近に見られます。この時期は、山鉾町内の民家も祭りを盛り上げるべく、秘蔵の家宝を表から見えるような場所に飾るなどして、地域が一体化して神様を迎える準備をします。