2021年6月22日 20:40
6時間以上の実技が3つも…超過酷な受験を描いた『東京藝大ものがたり』
そんな父は、藝大を現役合格した陶芸家。自由かつ楽しそうにものづくりをしている姿を幼い頃から見てきたことで、あららぎさんは藝大を目指すように。子育てに関しても非常に自由かつおおらかで、自分は予備校へ行かずに藝大に入れたからと、学費の援助は一切なし。よってあららぎさんはバイトで予備校の学費を稼ぎながら、時折、父に教えを請い、過酷な浪人生活を送ることになる。
「バイトをしないで浪人できるなら、そのほうがよかったけれども、自分で学費を稼いででも藝大に行きたいと思えるかどうかが大事だったんでしょうね。そういう意味でやれるところまでやったので、どんな結果でも私は納得できたと思います」
とはいえライバルが合格していく焦りや、描いても描いても上達している気がしないもどかしさ、多浪のトラウマなど、苦しい日々を思い出して何度も筆が止まったそう。
「あの経験を乗り越えた今は、何が来ても大丈夫と思えます。ものづくりは本当にハードで、自分を追い込まなければできないところがある。
そのためのベースの部分を、ずっと鍛えていたんだなって気がつきました。父はこの本を買って、いろんな人に配ってくれたそうです」
『東京藝大ものがたり』noteで連載され話題を呼んだ「東京藝術大学受験ものがたり」