くらし情報『「犯人わからないまま書いていた」“イヤミス”真梨幸子の最新作』

2016年7月26日 20:00

「犯人わからないまま書いていた」“イヤミス”真梨幸子の最新作

ジェットコースターのような展開の早さとドロドロの人間関係によって、『こういうストーリーかな』という読みは次々と裏切られる。そんな予測斜め上を行く物語を目指しました」

真梨さん自身も、誰が殺されるか、誰が犯人なのかもわからないまま書いていたという。

「私の座右の銘は“読者を騙すにはまず自分から”。『あ、この人殺されちゃったんだ』と驚いたこともありました(笑)。小説の世界でも、ジャズのライブセッションのような、予定調和のないアドリブがあっても面白いかもしれないなと。そのときどきで、ニュースに揺れる社会の空気やお騒がせトピックなど、時事ネタも積極的に取り入れていきました」

嫉妬やエゴの連鎖。伝播する悪意や欲望。さらに、“読書好きなパート主婦ムラカミが読んでいた本が『孤虫症』”“美緒がマイホーム欲を抱いたきっかけは、友人が買ったタワーマンションの四〇一二号室”“登場人物のひとりに<真梨幸子>がいる”等々、随所にメタフィクション要素が織り込まれ、ファンサービスもたっぷり。
◇まり・ゆきこ作家。1964年、宮崎県生まれ。『殺人鬼フジコの衝動』が2011年の文庫化を機に累計50万部を超える大ヒット。

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