くらし情報『将棋×ミステリー “夢”を見ることの希望と闇を描く、小説『神の悪手』』

2021年7月27日 22:10

将棋×ミステリー “夢”を見ることの希望と闇を描く、小説『神の悪手』

そこにミステリーとしての面白さや、社会とリンクするテーマが内包されている。たとえば、被災地の避難所に将棋指導に行ったプロ棋士が、将来有望な子どもと触れ合ったことで胸の痛む問題が浮かび上がる「弱い者」には、フェミニズム小説の匂いもある。

「将棋界でも、女性の地位などジェンダー問題を感じますね」

また、「ミイラ」の謎の始まりは、編集部に投稿された不可解な創作詰め将棋。たどっていくうちに、少年が味わった孤独が見えてくる。読者からの反響も大きかった一作だとか。

「詰め将棋は、答えがわかった瞬間に、作者は盤の中にどんな伏線を張り、どんな意図を持ってその世界を構築したのかが迫ってきます。そこが、ミステリーの作者と読者の関係に似ているなと思ったんです。作中でやりとりをする作者とそれを添削する〈検討者〉は、一度も顔を合わせてはいない。
なのに生まれる濃密なコミュニケーションにドラマがあるのが面白い」

取材のために始めた将棋の勉強。

「でも知れば知るほど深いし、自分の経験とシンクロするような。この題材でまだまだ書いてみたいです」

将棋×ミステリー “夢”を見ることの希望と闇を描く、小説『神の悪手』


あしざわ・よう作家。1984年、東京都生まれ。2012年、『罪の余白』で野性時代フロンティア文学賞に輝き、デビュー。

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