2016年8月8日 08:00
睡魔が名刺を持ってやってきた?! 嶽まいこの非日常な夜の短編集
新人離れした世界観で読ませる嶽まいこさんのデビュー短編集が発売。作品が生み出されたきっかけなどを嶽さんが教えてくれた。
『なんてことないふつうの夜に』というタイトルにちなみ、ふつうの夜を過ごす人々の身辺で起きる出来事がモチーフ。〈第1夜〉の「ビジネス・ロマンス・ホテル」は、憧れの先輩とふたりで地方出張に来たOLが、思い切って先輩を部屋飲みに誘い、意外な秘密を知る話。
だが、この微笑ましいオチは、ほんのジャブ。〈第2夜〉〈第3夜〉と続くうち、ふつうにしてへんてこな濃度は増していく。
「ウェブの連載を始めるにあたって、更新は夜にされて、それを読む時間帯も夜が多いのでは…という流れでテーマを“夜”にしました。もう少し内容を詰める用にマインドマップを作り、自分が描きたいシーンや人物を練っていきました。さらに、各話で、おどろきやどんでん返しを必ず入れたいなと思っていました」
〈第5夜〉「手のひらに地上の星」や〈第9夜〉「2.5次元胃袋」では、その発想力に脱帽するし、〈第7夜〉「ハングリーガールの憂鬱」や〈第11夜〉「わたしの睡魔」は、フィクションなのに強く共感する。
「私自身、ふつうでありつつ不思議が一緒くたになっているテイストが好きなんですね。