2022年3月28日 14:40
【アカデミー賞受賞】『ドライブ・マイ・カー』三浦透子「西島秀俊さんのおかげで安心できた」受賞作の舞台裏
極端なことを言うと、することがないと思ったくらい。でも、撮影の前に濱口監督ともその話をしたら、それでいいですと。「特別なことはしなくていいので、ただ運転の練習だけしてください。それがみさきの役作りです」と言われました。
なので、とにかく運転練習を一生懸命やりました。いま思えば、運転している最中に考えていたことがみさきへの理解にもつながっていたと思います。
原作の魅力がきちんと残った作品に仕上がった
―現場では、濱口監督ならでは演出などもありましたか?
三浦さん映画のなかでも、感情を入れずに淡々と読んでいく“本読み”という作業をしていますが、実際の現場でも行なっています。こんなにも本読みに時間を使うことは、私にとっては初めての経験でした。
濱口監督は、「その声で語られるだけで、心を動かされる。そんな声がある。役者からそういう声で台詞を聞きたい」とおっしゃっていました。本読みはその声を探す時間だったと思います。みんなでその“音”を探しているような感覚。とても不思議で素敵な体験でした。濱口監督の現場じゃないと味わえないものだと思います。
―そんな時間を過ごすなかで、忘れられない監督の言葉もあれば、教えてください。