2021年9月14日 22:10
「私にはこがん見えるったい」 自由に描く楽しさ溢れる『塔本シスコ展』
会場には丹念に描かれた大型作品が並び、まさにめくるめく“シスコ・パラダイス”。同じ学芸員の橋本善八さんは「画家と呼ぶのも違う、シスコさんはシスコさん」と話す。
「自分らしく生きていいんだよ、というメッセージが伝わるのではと思います」
塔本シスコ《秋の庭》1967年世田谷美術館蔵
息子の賢一さんの油絵を包丁で削り落として描いたという最初期の作品。はじめは怒った賢一さんも、その出来栄えに母の画業をサポートすることを決意したとか。
塔本シスコ《桜島》1970‐1988年個人蔵
星のように広がるドットは火山灰を表現。18年間にわたり描き続けられ、初期の頃とはまったく違う絵に。描くことを愛したシスコさんの制作姿勢がよく表れている。
塔本シスコ《野外彫刻展を見に行く》1995年個人蔵
小柄なシスコさんは自宅の団地の外壁に立てかけたキャンバスを回して大きな絵を描いた。よって縦横も自由。本作裏側には「どっちを上にしてもよかです」とメモが。
『塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記』世田谷美術館1階展示室東京都世田谷区砧公園1‐2開催中~11月7日(日)10時~18時(入場は17時半まで)