2021年9月9日 20:10
あいみょん、米津玄師のMVも 山田智和、「嘘がない世界」を描く理由
人の道具を集めて組み立てていくようなクリエイションを否定するわけではないけど、今の自分はなるべく自分たちのストーリーの集積で何かつくっていけないかなと。自分にしかないストーリーがあるかはわからないし、幻想かもしれない。でもつくることを諦めないというか」
彼がMVを通し自分のストーリーを語るとき、そこに度々映っていたのは変わりゆく東京の風景だ。雪の降る新宿、再開発された渋谷、昨年閉園してしまった「としまえん」。今の社会を記録し、同年代に生きる者としての思いを潜めている。
「社会的でないものには意味がないと思っています。僕は東京で生まれ育ったので、経済的な変化や自分が遊んでいた場所の変化には個人的な経験とつながっていろんな思いがある。どの目線で世の中を見て、どこでどう生きて、どう感じて何を提示したいかが表現の出発点じゃないかと。
それをSNSで言葉にしたらただのマウンティングになってしまう。言葉にならないことを伝えられるのは映像の特権ですよね」
近年、特に本質的にいいと思うものを追い、なりたいと願う像に近づくことに集中するようになったという。心から尊敬できるクリエイターたちとものづくりができることが、次へのモチベーションにつながる。