2021年9月21日 21:10
同窓会SNSの“都市伝説”から明かされる真実…乾ルカの青春群像小説
当時の教室にはさまざまな立場の生徒がいた。燦然と君臨する女王、彼女と対等になりたがる存在、密かにカーストの上に憧れる女子、影の薄いまとめ役の男子、等々。
「みんな、心のどこかで周囲から認められたい気持ちがあるんですよね。承認欲求はこの小説のセカンドテーマかもしれません」
一方、分け隔てのない態度をとる女子生徒もいた。一見いい人だが、
「ジョーカー的な超越キャラですが私にとっては同じクラスになりたくない人。彼女のような人は気に入った人には話しかけるけれど、気に入らない人には話しかけないところがある。私は話しかけられる自信がないんです」
10年後、彼らはそれぞれどんな道を歩んでいるのか。物語はコロナ禍で一人一人の仕事や行動に影響が出る様子も盛り込まれる。
そして同窓会の日、明かされる真実は―。
「物語の最後の一言には、いろんな意味を込めました」
と乾さん。自分に、周囲に、過去に向けたその言葉が突き刺さる。
『おまえなんかに会いたくない』卒業から10年。北海道の白麗高校の元3年6組の面々は同窓会の知らせを受け取る。だが、SNSには匿名で不穏な書き込みが…。中央公論新社1760円
いぬい・るか2006年「夏光」