2021年10月4日 22:10
ゾッとする結末が…終末的世界を描く深緑野分『カミサマはそういない』
「連帯主義やそれを成立させる忠誠心に対し警鐘を鳴らしたかった。ここに書いたことは戦時に限らず、いろんなところで起きていると思う」
次はがらっと変わって「ストーカーVS盗撮魔」。ネット上のアカウントの本人を特定して観察することが趣味の男が奇妙な状況に陥っていく。
「作中にも出てくる映画『フレディVSジェイソン』が好きで、私も『VS』という話を書きたくて(笑)。でも、ストーカーと盗撮魔が一人の女性をめぐって対決する話だと気持ち悪すぎるしコミカルな素材にするものでもない。それで、また別の設定にしました」
「饑奇譚(ききたん)」の舞台はアジアのどこかのスラムのような街。年1回の太陽光が“大放出”される日、人々は空腹を満たしておかないと体が消えてしまうという。
「街については九龍城や映画『スワロウテイル』のイェン・タウン、アニメ『カクレンボ』のイメージでした。
神話などでも食べる・食べないで運命が分かれる話が多いので、それらとリンクさせた感じですね」
最後の「新しい音楽、海賊ラジオ」は爽やかだ。近未来的な海辺の街で、少年が海賊ラジオを探す話だ。
「以前、大島に魚釣りに行って、楽しかったんですよ(笑)。