2021年10月8日 21:00
折坂悠太「音楽のこと、よくわかっていないんですよ(笑)」
折坂:でも、最初から“みんなの”を意識するより、作り手の個性や深層心理をめちゃめちゃ奥深くまで掘り進めてたどり着いたものが、意外とみんなの根底に流れているものだったということがあると思っていて。たとえば宮崎駿監督のアニメは、広く浸透していて、私も観て育っていますが、作り手の自我が、出ちゃいけないようなところまで出ているというか。それでも、ここまでみんなに響くのは、根底に流れているものを掘り当てたからなのかなと。
――掘り下げていく作業もそうですし、自分の中にある軽くないものを、音楽という人が心地いいと感じるものにして届ける作業は、とても大変だと思うのですが。
折坂:大変ですね、すごく。でも、コロナ禍になり、そういうフェーズにきているのかなと。それに、到底説明できなそうな感覚や、長くなる話みたいなものを、ポップスとして昇華できたら面白いものになると思って取り組んでいます。
――そんな中、3枚目のアルバムとなる『心理』が発売されました。
折坂:タイトルからして、明るくはないなという感じなんですけど(笑)。一見してわかりやすくないものに取り組みたいなと。その作業を経由しないと、自分の音楽を聴いてくれている人、これから伝えていく人に真摯に向き合えない気がしたんです。