2021年10月9日 23:10
IT社長がポメラニアンになり…!? 『犬、バージンロードを歩く』作者、宮崎駿を意識
周囲から嫌われていたIT社長の犬山桜二郎(おうじろう)。元従業員から恨みを買って殺されてしまうのだが、彼の意識はなぜか飼っていたポメラニアン〈ぼんじり〉の中に。
ポメラニアンに転生した男は、姪が結婚するまで守り切れるのか。
転生して意外な存在に生まれ変わる物語は、これまでにも多くのフィクションで描かれてきた王道設定のひとつ。とはいえ、ハマサキさんの『犬、バージンロードを歩く』はひと味違う。
生前は超ワンマンで感情に欠けた桜二郎だったが、亡くなった姉の椿の夢だった「娘の花嫁姿を見たい」という願いを代わって叶えるべく、犬の姿のまま姪のことりを見守ることを決意。そんな桜二郎もことりと一緒にいることで、人間として成長していくさまに揺さぶられる。
「守るより守られる方が似合っているポメラニアンにしたのは、非力な愛玩犬だけどがんばるという懸命さや工夫が際立つと思ったからです。
犬なのでできることにも限りがあるけれど、犬なのに人間みたいなふるまいをするギャップや、人間の感情を敏感に察知できる犬ならではの才能が魅力かと。そういう点をうまく見せられるように工夫しました」
まず引きつけられるのは、ほわほわした見た目といい、ちょっと間抜けな生態といい、ぼんじりが備えている愛らしさ。