2021年10月15日 20:00
升毅「まだ悲しみとの距離が全然取れていない」急逝した監督への特別な思い
ところが、佐々部監督が突然亡くなってしまったことで、僕たち自身が手紙を書く側となり、すべて自分たちのこととして受け止めなければならなくなったのです。
そこで、本作の野村(展代)監督が「自分たちの思いも乗せた映画として作りたい」ということで、僕を指名してくださいました。普通の映画のオファーをいただく喜びとは違う意味で、うれしかったですね。もし、僕以外の人がすると聞いたら、きっとすごく寂しい気持ちになったと思いますから(笑)。それくらいこの作品に声をかけてもらえたことは、ありがたいことでした。
―とはいえ、カメラの前でご自身の悲しみと向き合うことに抵抗はありませんでしたか?
升さんそれはなかったですね。というのも、佐々部監督が亡くなったことを受け入れられない日々がずっと続いていたので、この作品を通じて監督に関われる喜びのほうが大きかったからかもしれません。台本があるわけではないので、ただそこにいて感じることしかできませんでしたが、それでいいと言っていただいていたので、「カメラの前で何かをしなければいけない」という感覚は一切ありませんでした。
悲しみには距離があることを知った
―本作では、取材される立場でありながら、大切な人との別れを経験した方へ取材する立場も担っていらっしゃいました。