2021年10月15日 20:00
升毅「まだ悲しみとの距離が全然取れていない」急逝した監督への特別な思い
そういった経験から得たものもあったのではないでしょうか。
升さん今回、僕は“悲しみの距離”というものを知りました。それが時間によるものなのかは、いまでもわかりませんが、距離が取れるようになって初めて、ようやく思いを言葉にすることができるのではないかなと。そういった経験をされた方々の言葉は、本当に心に刺さるものがありました。ただ、僕はまだ悲しみとの距離が全然取れていないので、頭のなかでいろいろな言葉がめぐってはいるんですが、言葉として出てこないんですよね。そういったことを感じる瞬間は、撮影中もたくさんありました。
―実際に「漂流ポスト3.11」に行かれてみて、印象に残っていることがあれば教えてください。
升さんポストを管理されている赤川勇治さんから聞いて驚いたのは、そもそも手紙を書くことすらできない人が多くいるという話。
だからこそ、その一歩を踏み出すことができた方々の手紙を見ることで人の強さに触れることができましたし、書いた方のことを考えるだけで僕のなかでもいろいろな感情が湧き上がりました。
最初は「どうしていなくなってしまったの?」と書かれていた手紙が、だんだん「そっちはどう?」