2021年10月24日 23:10
65歳で美大に、映画づくりを始めるものの…コミック『海が走るエンドロール』
漕ぎ出した船はどこへ着くのか。65歳から始める、映画づくり。たらちねジョンさんによる、コミック『海が走るエンドロール』をご紹介します。
何かを始めるのに遅すぎることはない、とはよく言うものの、年齢を重ねるほど「やらない言い訳」がうまくなっていないだろうか。しかし本作の主人公・茅野(ちの)うみ子は違う。
「うみ子さんを65歳にしたのは、母がほぼ同い年でイメージしやすかったから。母はひとりでモロッコに行ったり、アラフィフのときにヒップホップダンスを始めたりしてアクティブなんです。そんな母を見て育ったので、いくつになってもやりたいことを始められるものだと、私自身も昔から思っていました」
うみ子は夫と死別して、四十九日を過ぎたばかり。
ひとり暮らしにもまだ慣れないなか、数十年ぶりに訪れた映画館で海(カイ)という映像専攻の美大生に出会う。海は上映中、スクリーンではなく客席を気にするうみ子を見て、自分と同じく映画を作りたい側の人間であることに気づく。
「私もライブや映画、演劇などを観に行くと、どうして自分はステージ側の人間、つまり作り手側じゃないんだろうって、作品を素直に楽しめない時期があったんです。