くらし情報『ミムラが敬愛してやまない“向田邦子”という人』

2016年10月1日 22:00

ミムラが敬愛してやまない“向田邦子”という人

むこうだ・くにこ1929年、東京都生まれ。実践女子専門学校卒。映画雑誌編集を経て放送作家に。ラジオ番組『森繁の重役読本』、テレビドラマ『寺内貫太郎一家』など、脚本を1万本以上手がけ、次々とヒットさせる。’78年に初のエッセイ『父の詫び状』を、’80年には直木賞小説を含む『思い出トランプ』を刊行。小説家としても活躍しはじめた’81年、台湾旅行中に航空事故に遭い、帰らぬ人となる。写真・柴田博司

“ひと昔前”であるはずの昭和。それでもその時代の女性たちに今なお私たちが引きつけられるのはなぜ?

その理由を、彼女たちの生き方や人となりに色濃く影響を受けてきた、エッセイストとしても活躍中の女優・ミムラさんが解き明かします。


***

■「いつか世間話を」文・ミムラ(一部抜粋)

「料理、あまりしないんです」

身近な女性達の口からそう聞く度に、ソワソワする自分が居る。私の役者業を応援・家事も全面的に分担してくれる夫に、どうしても料理だけは任せる気になれず、多忙中も出来る限り自炊している。

一人暮らしの自炊は相対的に高くつくというデータは知っているし、男女同等に働き家事の分担も平等化していく、そんな世の中になればと願っている。それなのに“忙しくても料理する女性”に固執しているのだ。現代の風潮から少し昭和に偏った、このブレない私の基準。一体どこから来たものか……。

四年前、書店で桐島洋子さんの『聡明な女は料理がうまい』を目にして、そうだ、これだ!という納得の思いが胸の内を駆け抜けた。そしてその納得の真中に、向田邦子さんが涼しい顔で立っていた。
ずばり彼女こそ、私にとって憧れの“料理が上手い聡明な女”なのだ。

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