2021年11月25日 19:30
13万円の絵が510億円に!? 男性版モナ・リザがたどる「数奇な運命の結末」
あともうひとつは、オークションハウスのサザビーズが果たしていた役割が非常に特殊であったこと。サザビーズがロシアの富豪からお金を預かったとき、彼の右腕がしていた怪しげな工作に関与していたとされています。現在、アメリカでは訴訟中ですが、あれほど大きなオークションハウスが合法と非合法のすれすれのところに介入していることに、びっくりしました。
利益を求める人たちによって、芸術が貶められている
―アートとは崇高なものだと思っていたので、本作で映し出しているようなお金との関係性には驚かされましたが、監督自身はいまのアート業界のあり方をどう感じていますか?
監督もちろん、アート業界のなかには崇高な部分もまだ存在しているとは思います。つまりそれはここまで大きなお金が動くことなく、純粋にアートと向き合っているアーティストたちがクリエイトした作品を発表するうえで、オークションハウスやギャラリーの力を必要とする通常の流れのことですけどね。
ただ、そのいっぽうで、世界の大富豪たちが芸術的な価値よりも投資目的で落札するという流れが現代のアート界にあるのも事実。本作で映しているように、芸術作品がお金を生んでいる状態となっているのです。