ひとつ考えているのは、難しいことを考えず、言葉で説明できないことを全身のエネルギーを使って演じている女優の様が、コメディになるということなのかなと」
考え方も生き方も性格も、まるで真逆な双子の置かれる状況は、時間の経過による社会や価値観の変遷によって大きく変わっていき、ふたりの人生は予想もしない方向へ。
「どっちも、少し前までは赤だって話をしていたのに、次の瞬間には青の話をしているくらい感情が目まぐるしく動いていく役なんですね。戯曲のプロダクションノートに“常にホルモンの影響で興奮しているような状態で演じること”って書かれているんですが、そういう部分のことを言ってるんじゃないのかな?と説明されて、ちょっと納得したんです。ふたりは普通の人だけど普通じゃなくて、それぞれが自分の理想に向かって進めば進むほど、周りが見えなくなっちゃう感じがあるんですよね。物語的には社会問題だったり、ジェンダーの問題だったりが絡んできてシリアスではあるんですけれど、その中で生きている人たちは、ただただ必死で、その様子が笑えるのかもしれないです」
発せられる言葉は、迷いや悩みではあるけれど、これまでにだって、レズビアンをカミングアウトする少女や、出世のために夫をけしかけ王殺しをさせる妻など複雑な役に扮してきた大原さんだ。
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