どちらの役も、わかりやすい苦悩で言い訳するのではなく、役の抱える運命に対する諦観を含んだ覚悟に、自ら全身で飛び込むように演じていた。その潔い姿を見ていれば、この役もやってのけるのだろうと確信させられる。
「自分でもわからないんですが、お芝居をやっていると自分の本当の姿が出てくる感じがするんです。生きているうえで、思っても口に出せない本音がありますよね。お芝居をしていても観ていても、それがえぐり出されて浄化される感じがして、私はそれが好きなのかもしれない」
共演するのは、小泉今日子さんと八嶋智人さんというユーモアを持ち合わせる達者なふたり。
「今回、17歳から51歳までを演じるんですが、この物語をご覧になった方が、これまでの人生にあった恥だったり隠したいことだったりを作品に垣間見て、エグいけど笑ってもらえたらなと思っています」
シス・カンパニー公演『ミネオラ・ツインズ~六場、四つの夢、(最低)六つのウィッグからなるコメディ~』NYの郊外の町・ミネオラに暮らす双子のマーナとマイラ(大原)は、容貌は同じだが真逆な性格。1950年代から始まり、’69年、’89年と、変わりゆくふたりの姿が描かれる。
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