2022年2月8日 19:10
長塚圭史「神奈川の“K”くらいには触れられた気が」 新芸術監督としての斬新企画
横浜中華街のすぐそばにあるKAAT神奈川芸術劇場が、近頃面白いことになっている。エントランスロビーに、昔の芝居小屋を思わせる仮設劇場が出現したり。かと思えば、劇場の一角を一般に開放し、開幕に向けて俳優が稽古に勤しむ様子を通りすがりに眺められたり。それもこれも、劇場をもっと“ひらいて”いきたいという新しい芸術監督の想いから。それがこの長塚圭史さんだ。
新芸術監督が神奈川県と仕掛ける、ユニークな冒険譚。
「ロンドンに1年間いた時、日本に比べて劇場がアーティストやお客さんと密接な関係にあると感じたんですね。子供に上質な演劇を観せる機会が広く設けられていたり、アーティストが研究や実験をおこなえるよう開かれていたり。
劇場がそういう場所になったら豊かだなというのは、就任が決まる前から思っていたこと。でもそのためには、この場所にあるということをちゃんと自覚し、またそれを多くの人に知っていただくことが必要で。そのために、まず近隣の方たちとどう顔を合わせていくかを考えていたんです」
とはいえ、劇場になじみのない人も多い。ならばこちらから出向こうと発想されたのが舞台『冒険者たち』。『西遊記』でおなじみの三蔵法師一行が神奈川県内を巡る冒険譚を、県内各所で上演するという企画だ。