2016年11月21日 21:43
「やらせてください」と直訴 松山ケンイチがつかんだ“10年に一度の作品”
「僕にとっては10年に一度の作品だと思っています」
きっぱりとした口調で言い切ったのは『聖(さとし)の青春』で夭折した棋士、村山聖を演じた松山ケンイチさんだ。同世代の羽生善治らと死闘を繰り広げながらも若くして病に倒れた棋士の生き様を描く同名のノンフィクション小説を読んで以来、映像化を願っていたという。
「村山さんの生き方に感動しました。本を読んだときの僕は29歳かそこらで、ちょうど村山さんが亡くなられた年代だったんです。それもあって、すごく彼にリンクしたんだと思います。これは絶対に映像化したほうがいいと思っていたとき、映画化が進行中と知り『やらせてください』と立候補しました」
松山さんは凝った役作りに定評がある役者だ。
体重を大増量したのが話題だが、注目すべきは精神面の役作り。松山さんは村山聖を理解するために彼が生前に住んだアパートや将棋会館に足を運ぶなどし、村山の息吹を感じることに時間を割いた。
「彼は将棋だけじゃなく、映画や音楽、漫画の知識も深い人でした。普通に学校に通って友情を育み、恋をしてという経験がない分、それらへの憧れも強かったような気もします。僕自身も人とのコミュニケーションよりも映画や漫画に感動を求める面があるので、村山さんの心境がなんとなく理解できました」