2016年11月21日 21:43
「やらせてください」と直訴 松山ケンイチがつかんだ“10年に一度の作品”
松山さんはまた、村山の勝負師としての刹那的な生き方と自身の役者としての生き方に共通点があるとも感じたという。
「勝負の世界に生きる人というのは、どこか欠けている部分があるんじゃないでしょうか。人生のある局面で全てを懸けるためには、何かを捨て去るわけですが、その感覚が役を演じるのと似ている。僕も役を演じるために、不要なものを犠牲にすることがあります。でも今回はすごい挑戦でした。きちんと村山聖を演じることができたら、役者を辞めてもいいとさえ思いましたから」
松山さんの覚悟のほどはスクリーンからもしっかりと伝わってくる。目が離せない場面が多いが、特に印象的なのは東出昌大さんが演じる羽生善治とのシーンだ。
「村山さんと羽生さんのような関係は、お互いを同じように尊敬しあい、同じゴールを目指している人同士じゃないと成り立たない。
恋愛とは違うけど互いに恋いこがれている関係でもあり、男同士のラブストーリーといってもいいですね」
定義するのが難しいこの感覚は、撮影現場で松山さんも折に触れて体験するもの。本作の撮影中、彼がもうひとつ実感したのが「好きに勝ることはない」ということ。
「大変な作品でしたが、本当に好きなことをしているのでプレッシャーなどは一切感じませんでした。