2022年5月21日 20:10
『ピンドラ』幾原監督「繊細な部分と同時に鈍感力が必要」 痛恨の会社員時代を振り返る
と。労働環境が過酷でみんなすぐ辞めるから、いろんなタイプの人間を採っておく方針だったみたい。実際、人の入れ替えが激しい職場で、その年は全部で20人くらい採用したようだけど、「同期」はアニメ業界にはほとんど残っていません。
――東映の演出試験は、将来の監督候補を募集するもの。会社員時代の仕事はどうでしたか?
幾原:大失敗ですね!
―――えっ、意外です。
幾原:全くうまくいかなかったです。今なら自分が頭でっかちで驕りがあったとわかるけど、当時は全くわからず空回りしていた。多分ね、どこかで上から目線だったんですよ。
全てのことをバカにしているのが、態度に透けて出ていた。
――てっきり順風満帆かと。
幾原:自分の仕事のどこがいけないかも気づけないということが続きましたね。みんなね、2回は教えてくれないんですよ。1回の失敗は聞けば教えてくれるけど、2回目に同じ失敗をしたら、失敗したことすら教えてくれない。なぜかといえば仕事は椅子取りゲームだから、誰かの失敗は「席が空く」ことになるんですよね。だからミスをしないようにやることを目指すけど、それもできない。制作をやっていると秒数やコンテなどの「数字」