2022年5月27日 19:00
居場所がない…耳が聞こえない親を持つ子どもたちの「知られざる現実」【映画】
コーダという言葉が生まれたアメリカにおいても、コーダ・コミュニティを取材した初の長編ドキュメンタリーとして話題となっています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。
松井至監督
これまでも「聴きとりづらい声を聴くこと」をモットーにドキュメンタリー制作を続けてきたという松井監督。本作でも、丁寧な取材力と見事な手腕を発揮し、大きな反響を呼んでいます。今回は、コーダたちから学んだことや撮影秘話、そしていまの私たちにできることなどについて、語っていただきました。
―まずは、コーダという存在について知ったのはいつ頃、どういったきっかけだったのでしょうか。
監督2015年に、海外向けに東日本大震災の復興について発信する番組のディレクターになったのですが、そのときにふと耳が聞こえない人たちはどうしていたのだろうかと考えました。東北のろう者への取材を行うにあたって参加していただいたのが、本作にも出演しているアメリカ人手話通訳者のアシュリーでした。
生き延びたろう者の方々と耳の聞こえる彼らの子どもたちから話を聞いていくうちに、なぜか段々とアシュリーが気を落としてきました。理由を尋ねると、「彼らはコーダという人たちで、私もその1人なんです」