2022年5月27日 19:00
居場所がない…耳が聞こえない親を持つ子どもたちの「知られざる現実」【映画】
観客のみなさんにも、少しだけ「目で読む」ろう者やコーダの感覚を知っていただける作りになっていると思います。
他者と生きることは何かを感じてほしい
―では、コーダのみなさんがより暮らしやすくするために、私たちができることがあれば教えてください。
監督まずは、コーダの存在を知ることではないでしょうか。特に、教育者の方に伝えたいことですが、ろう者の家庭で育った場合、子どもは手話が母語になるので、口語を覚えられないまま学校に行くことがあります。アメリカのコーダの子たちは「移民の子と一緒に補習の授業で英語を覚えた」という子がたくさんいました。そうしたサポートが充実するためにも、まずは聴者の側がコーダのことを知ってほしいと考えています。
これは人種差別やジェンダーの問題でも言えることですが、他者と生きることを学ぶ時代なのかと思います。つまり、自分から見えるものだけでなく、向こう側からはどう見えているのかという行き来を、つねに自分のなかに持っていることがこれからは大事になってくるのではないかなと。
この作品では、聴者のみなさんが映画を鏡にして、自分自身の姿が見えるような経験になったらいいなと思っています。