くらし情報『芥川賞作家・上田岳弘「寂しさはもう役割を終えたと感じています」新作のテーマは“穴”』

2022年6月13日 19:10

芥川賞作家・上田岳弘「寂しさはもう役割を終えたと感じています」新作のテーマは“穴”

今回は9つの柱が世界を支えているという僕のSFビジョンを、リアリズム小説に収めるために人間として登場させました」

柱はおのおの、「運命」「効率」「斥力」「引力」「遠方」「祈り」などといった要素を担当する。

「9つの要素の中では最初に引力を思いつきました。引力があれば斥力もあるだろうし、たとえば錬金術などは、小説自体が錬金術といわれていることからひらめいたもの。本多維富は日本海軍を騙した実在の詐欺師で、いつか小説に出したいと思っていました。遠方については、僕がこの小説を書いた際の一番の収穫」

という遠方の柱は、現在ロケット開発など宇宙系のスタートアップに関わっている。

「これまでの小説では、人類が地球から出ていかないまま煮詰まったらどういう精神状態になるかという思考実験をしていました。今回、遠方担当を登場させたことで、人類は宇宙に行くと方向転換したんです」

ペントハウスでポーカーに興じる彼らだが、その場に「引力」の柱はいない。上田さんは小学生の頃、引力がなければ物質はバラバラになる、という発想から「引力」=「寂しさ」だと考えていたという。
「いまだ変わらずそれで小説を書いているんですよね(笑)。

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