2022年もまもなく上半期が終わりを迎えますが、そんなときにオススメの映画といえば、厳しいなかでも新たな道へと進み出そうとする主人公を描いた作品。そこで、今回ご紹介するのは、フランスから届いた珠玉の1本です。
『母へ捧げる僕たちのアリア』
【映画、ときどき私】 vol. 496
南仏の海沿いの町にある古ぼけた公営団地で、3人の兄と暮らす14歳のヌール。長年、昏睡状態に陥っている母を兄弟だけで自宅介護する生活は苦しく、まだ中学生ながら夏休みは兄の仕事の手伝いと家事に追われる毎日を過ごすことに。
そんなヌールの欠かせない日課は、毎夕に母の部屋の前までスピーカーを引っ張っていき、母が大好きなオペラを聴かせてあげることだった。ある日、教育奉仕作業の一環で校内清掃中だったヌールは、歌の夏期レッスンをしていた声楽講師のサラに呼び止められる。そして、歌うことに魅せられていくのだが……。
2021年のカンヌ国際映画祭で<ある視点部門>に正式出品されたのをはじめ、国際的な評価を得ている本作。そこで、今後のフランス映画界を背負っていく新たな才能としても注目を集めているこちらの方に、お話をうかがってきました。
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