日本の小説が海外でブームに!? 中村文則×村田沙耶香の対談から探る“海外翻訳”最前線
海外で最もよく読まれている作家といえば、必ず名前があがる中村文則さんと村田沙耶香さん。2人の対談から小説の海外翻訳の最前線を探ります。
村田沙耶香(以下、村田):この数年、日本の小説がイタリアでブームなのだと、イタリアの翻訳家さんから教えてもらいました。イタリア語翻訳ができる人が足りなくて、たくさんの小説をご自身や生徒さんが翻訳なさってるそうです。
中村文則(以下、中村):日本文学は、村田さんをはじめ、多和田葉子さんや柳美里さん、川上弘美さん、小川洋子さん、川上未映子さんなど、海外でも女性作家の勢いがあります。
村田:中村さんはそれこそ10年以上前からいち早く海外で評価された方で、ノワール小説の分野で貢献した作家に贈られる「デイヴィッド・グディス賞」を日本人で初めて受賞されているので、作家仲間からも尊敬されていて、新しい道を切り開いたというイメージがあります。
中村:いやいや。僕はむしろ、今こうして日本の女性作家が注目されているのは、いい流れだなと思っています。
村田:私の本を日本語からデンマーク語にしてくださるメッテ・ホルムさんという翻訳家さんは、村上春樹さんの作品も手がけていて、デンマークで日本文学を広めてくださっている方です。