門脇麦「日本語を介さない創作現場では本質だけが残る」 舞台『ねじまき鳥クロニクル』が再演
村上春樹の小説を原作に、意識と無意識を融合させたキュートかつダークな世界。ダンス、音楽、美術、衣装、全てにおいてセンスを感じる舞台『ねじまき鳥クロニクル』は、観客を極上の観劇体験にいざなった。イスラエルのインバル・ピントが演出・振付・美術を手掛け、大友良英率いるバンドが生演奏を行った。初演は好評を博したが、コロナで全公演の上演は叶わず、3年ぶりに再演が実現。門脇麦さんは初演に続き、17歳の笠原メイを演じる。
五感を使って演出意図をキャッチして体に落とし込む作業をしてました。
「インバルは、視覚センスが突出している人。人物の立ち位置から場面を組み立ててみたり、時間をかけて振り付けても、やはり違うと思ったら、潔く一から作り直したり。
ニュアンスや空気感をとても大切にされていて、その創作過程は稽古場で見ていても刺激的でしたね」
原作は全3巻もある長編小説である。門脇さんは村上作品の大きな魅力の一つは文体にあると感じていた。
「ただ、あの日本語のニュアンスは翻訳ではおそらく伝わらないと思います。だから、私が原作を読んで感じ取った空気感やメイという少女を表現することよりも、イスラエル人のインバルが日本文学の村上作品を読み、どんなエッセンスを受け取り表現したいと思ったのか。