推し活がはらむ闇も!? 推し活のリアルを描いた、少しホラーな物語『コレクターズ・ハイ』
昨年、「もぬけの考察」で群像新人文学賞に輝いた村雲菜月さん。受賞第1作となる『コレクターズ・ハイ』は、推し活のリアルを描いた物語だ。商品企画の仕事に就き、キャラグッズをはじめ漫画やアニメ、ソーシャルゲームに目がないという自身の体験がベースになっている。
執着が暴走した果てにあるものは!?共感必至&少しホラーな推し活物語。
「推し活って、人によって価値観や熱量に差があるなと思っていて。自分が普通と思うことが傍から見たらおかしい、みたいなこともそうですし、当事者だから見えた気づきを小説にしたいと思いました」
主人公は人気キャラクター「なにゅなにゅ」の収集に励む会社員・三川。彼女は髪オタクの美容師・品田のもとに通い、縮毛矯正でストレートヘアに整えている。ある日、クレーンゲームオタクの森本さんと出会い、クレーンゲームでなにゅなにゅを取ってもらう代わりに髪を撫でさせることになり…。
三者三様の執着が、次第に不穏さを帯びていく展開にぐいぐい引き込まれる。
「好きなものを集めたり対象に没入するのは楽しいけど、キラキラした面ばかりじゃない。例えば、つぎ込んだ金額やアイテムのレア度でマウントしたり嫉妬したり、あるいは自分自身が集められる対象だったらどうだろうとか、推し活がはらむ闇は一番書きたかったところです」