くらし情報『「規格外の野菜」が棄てられる日本で、オルタナティヴな販路“青山ファーマーズマーケット”が必要な理由』

「規格外の野菜」が棄てられる日本で、オルタナティヴな販路“青山ファーマーズマーケット”が必要な理由

2018年3月12日 08:27
 

スーパーで販売されている野菜の値段が、どのようにして決められているか考えたことはあるだろうか。一つ数百円のジャガイモも、5個入りで300円のニンジンも、農家の方が汗水流して作った産物。そのどれもが、天候に恵まれなければ実らないかもしれないリスクを背負い、決められた規格通りに栽培しなければ商品にならないという過酷な環境で作られている。しかし私たちは、野菜を購入するときに値段の安さに固執し、生産過程の苦労も知らずに文句をつける。傷んでいようものなら、お店にクレームを入れるだろう。そしてその野菜は、捨てられてしまう。スーパーに入った時点で、お金を払う時点で、あたかも自分が上の立場にいるかのような振る舞いをしてしまうのだ。2009年に開始した、表参道駅を出てすぐの青山通り沿いで野菜を販売する「ファーマーズマーケット」では、農家さんが自分で作った野菜に自分で値段をつける。「家族を養うためにこの価格設定にしています」、「これだけ情熱をかけて作ったのでこの値段にしています」と自由な売買が行われている。

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農協は全国の農家から野菜を買い取ることで多くのビジネス機会を提供しました。僕自身、農協の仕組みは素晴らしいものだと思っています。ただ、一方で、農薬を使わないこだわりの野菜を作りたいなら、自ら販路を開拓しなければいけない現状があります。ある種、“真面目な人がバカを見る”ことも少なくないのです。ファーマーズマーケットは、そうした信念を持って野菜作りに取り組む農家を応援する取り組みです。青山の土地を安価で貸し出し、オルタナティブな販路を提供。新鮮な野菜を求める消費者と、新鮮な野菜を届けたい生産者をつないでいます
価値ある活動ですが、されど商売。どれだけ新鮮な野菜でも、すべてが消費者の手に届くわけではない。もちろん安価な野菜で済ませたい消費者も多く、売れ残ってしまうこともしばしば。するとファーマーズマーケットに参加している農家の方たちは、残ってしまった野菜を運営事務局に寄付して帰るそうだ。

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“新鮮な野菜が食べられることは奇跡” 価値ある活動を支援する「Re-think Food Delivery」

「Re-think Food Delivery」は、ファーマーズマーケット内で売れ残ってしまった新鮮な野菜を買い取り、周辺レストランに配送する新たな取り組み。スーパーで売られているものよりも新鮮で、なおかつ信念を持って作られたこだわりの野菜を食べる機会を提供している。参加するレストランは、運営事務局に事前にお金を預けることになっている。どんな野菜が届くか分からないのにこの仕組みが成り立つ理由は、「シェフの考えと生産者の考え、消費者の考えが一致しているから」。現在は渋谷区から15店舗のレストランが参加している。

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都市に“顔の見える人間関係”を取り戻す。ファーマーズマーケットが目指す“人間関係のハブ”

都市とは違い農家が多い地方では、損得感情のない人間関係をよく見かける。たとえば、近所の農家がとれたての野菜を「よかったら食べて」と届けてくれることも少なくない。そうしたコミュニケーションが生まれるのは、常日頃から密なやりとりがなされているからこそ。顔の見える関係性が重要なのである。ファーマーズマーケットは、単に新鮮な野菜の販路になるだけではなく、都市に少ない“心の豊かさ”を育む取り組みともいえる。

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拝原さんは、「Re-think Food Delivery」のシステムを全国に広げようと奮闘中


。「新鮮な野菜を新鮮なまま提供したい」という考えから、参加店舗は渋谷区内に限っているが、仕入先の農家はエリアを拡大しつつある。想いを持って農作物を育てる農家を応援し、ファーマーズマーケットの価値を最大化しようと挑戦中だ。

たとえば今の時期だと、愛媛県で柑橘類のフードロスが問題になります。春になれば、山形でさくらんぼが大量に廃棄される。高価な値段のつく高級品も、実は信じられないほどロスがあるんです。農家さんたちは気づいていないかもしれませんが、食べたくても食べられない人がたくさんいます。これからは、僕たちがその問題に歯止めをかける存在になりたい。全国の生産者と消費者をつなぐハブになれたらと思っています
残念なことに、私たちはご飯が食べれることを当たり前だと思っている。お金を払えば野菜が買えることに何の疑問も持っていない。拝原さんの話を聞いて、ハッとした人も多いのではないだろうか。「過酷な環境下で育った野菜は、もうそれだけで奇跡」。スーパーで売られている野菜も、誰かが汗水流して一生懸命作ったもの。もちろん野菜だけではなく、身の回りにあるすべてのものがそうだ。ファーマーズマーケットは、私たちに「当たり前」のありがたさを教えてくれる。「ありがとう、いただきます」、そんな気持ちを忘れずに、毎日を過ごせる人間でありたい。

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