くらし情報『日本とルーマニアという“鎖国”をしていた国をルーツに持つ彼女が、「日本の多様性」について考えたこと』

日本とルーマニアという“鎖国”をしていた国をルーツに持つ彼女が、「日本の多様性」について考えたこと

2018年3月26日 09:18
 

日本には、日本国内と国外のもの(内と外)をわける「島国」的な特徴が一部に残っている。また遠く離れた東欧の国ルーマニアにも、外からの情報が遮断されていた時代が長く、閉鎖的な空気が未だに残っているという。東京藝術大学を油画専攻首席、美術学部総代として卒業し現在は同大大学院に通うスクリプカリウ落合安奈(おちあい あな)さんは、そんな日本とルーマニアにルーツを持ち、そのバックグラウンドに少なからず影響を受けたアーティストだ。今回Be inspired!は、そんなバックグラウンドからマイノリティや区別や差別、偏見に興味を持ち、作品でのアプローチを試みている彼女に、2020年にオリンピックを控えた日本が異なるバックグラウンドを持つ人たちが大勢来日するにあたって何に気をつけたらいいか、知らない文化についてどう想像力を働かせるべきなのか聞いてみた。

意外にも共通点のあった、日本とルーマニア

日本は江戸時代に国民に出入国制限をかけた“鎖国”をしていたことがあり、現在も「島国」であることから、外から入ってきたものに対して不寛容である側面がある。“日本人”とそれ以外を極端に区別したり、日本人の多様性を受け入れられなかったりするところだ。彼女自身が幼い頃に、外見的特徴や仕草が“日本人らしくない”と、いじめを受けたことがあったのもその一例かもしれない。一方ルーマニアは、1945年から1989年まで共産党一党独裁の社会主義国で、秘密警察が国民の思想や言論を監視し、統制が図られていた。そのような過去があるがゆえ、経済的に遅れを取ったという否定的な面はあるが、だからこそ中世ヨーロッパの趣が残っており「ヨーロッパのタイムカプセル」や「ヨーロッパ最後の中世」とも称される。そんなルーマニアに滞在していたときには、アジア人を軽視していて差別的でありながら褒めているつもりで「アジア人だけどルーマニアの血が入っているから美しいんだね」と言われたり、他のヨーロッパの国を旅しているときにはルーマニアのルーツを持っていることを話すと「ロマ*1の多い国か」と言わんばかりに苦い顔をされたことがあったりした。

(*1)ヨーロッパを中心に分布している少数民族で、多くの地域で「よそ者」として排除されてきた歴史がある。現在も差別の対象となってしまっている彼らは、ルーマニア国内に多く暮らしている

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“ハーフ”に対する問題は日本で起きているもので、本当は当事者以外にも関係がないわけではないはずです。日本だから起こってしまっている問題なのに、その問題を見ようとしなかったり、自分のこととして考えられなかったりするだけなんだと思うんですよね。それをどうやって考えてもらえるように伝えるかを日々作品を作りながら考えています
彼女にとって美術は、言葉で説明できない感覚や思いのはけ口としても機能している。それを含めた自身のテーマに興味を持ってもらえるよう、幾重にも工夫を重ねた作品を使い、当事者ではない人たちが気づいていないところまで思いを馳せられるようなきっかけを作ろうとしているのだ。たとえば『明滅する輪郭』と名付けた作品では、空気はどこでもつながっていて、他人が吐いた空気を自分が吸い込むことで「相手の成分」が自分の一部になる可能性があり、相手にとっても同様だということを表現した。自分と相手の“境界線”は曖昧で、自分は当事者ではないと思える事柄だって実際に関係ないとは限らないと暗示しているようだ。

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“明滅する輪郭” / “Outline to flicker”(2015)ビニール袋を人の顔に縫い付けることで「呼吸」を可視化させている

“異なる価値観”に触れないと気づけない問題

安奈さんに、日本の「多様性に対する認識の欠如」についてどう考えているのかを聞いてみると、自分と異なる価値観に触れてみないとわからない問題が多いという。たとえば、友人にベジタリアンがいて一緒に食事に行く機会があれば、選べるメニューが少ないというベジタリアンが直面する問題や、まわりがベジタリアンの友人のことを配慮して店を選ばなければならないというちょっとした問題にも気づく。安奈さんがフランスを訪れたときには、現地の学生と共同生活をすることがあり、体調を崩していたにもかかわらず彼らの文化である食後の団欒の場を離れようとしたら一部の学生から非難されたことがあった。相手の文化に従わなかったことにより起きる小さな摩擦を、彼女はリアリティを持って知ったのだ。

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